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March 24, 2011

目黒 : 読み物 『阪神大震災と防災基本計画と道路橋示方書の改訂』

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GRDigitalⅢ

お題:『阪神大震災と防災基本計画と道路橋示方書の改訂』
写真と全く関係ないですが興味のある方はどうぞ☆

水曜日、初めて停電をしている町をバスで通り抜けました。

信号は消えているし、車は渋滞しているし、歩いている人たちは不安そうだし。
被災地の方々を思えば、協力は当然ですが、やっぱり心細いものは心細い。

そんな様子を見て、やっぱり野球はナイターはやめて、デーゲームでいいんでないかと。

ところで、原発の件は専門外だから、いろいろなことが分からず
右往左往してしまいます。”専門”の方、教えてください。

『阪神大震災と防災基本計画と道路橋示方書の改訂』

さて、ワタクシことhiliving、学生の頃の専攻が工学部の土木工学だったので、
そんな関連の仕事についているものですから、今回の復旧の仕事でお手伝いができるわけであります。
(写真は趣味ですので、悪しからず。本業はコチラです。)

手元に専門書があるわけでないので、
多少怪しい部分もありますが、そこはすこし温かい目でみてください。
基本的に、地震の発生の仕方が違うから、損傷のメカニズムとかは単純には比較できませんけれども。
阪神大震災は、橋梁の耐震設計や防災計画において、ものすごいターニングポイントになっていたようです。

さてさて、
国の研究関連組織は今回の地震の次の日の朝、余震もまだある中で、被災地に乗り込んでいます。
そして、道路橋(橋)の損傷状況についてのレポートを2日後にまとめています。

そのレポートのアウトラインを見てみると、
高速道路、国道、県道レベルの橋は”地震”による被害は比較的少なくて、
むしろ、津波によって橋が破損・損傷している内容を報告しています。

そんなわけで、東北道は24日から一般車両の通行も可能になるようです。
これは気がつかなければ、気がつきませんが、かなりすごいことだと思います。

あれだけの規模の地震で橋が落ちなかったのは、
”阪神大震災”の教訓が生きているんだと、あくまで個人的に思っています。

それによって、今後の支援、復旧、復興のスピードが全く変わってきますよね。

で、そのあたりを細かめに。ちょっとだけ柔らかめに。


【道路橋示方書について】
阪神大震災では高速道路を含め、様々な橋が被災しました。
それをうけて、日本の一般的な橋を作る基準書の”道路橋示方書”が、ものすごい短期間で改訂されました。

阪神大震災は平成7年ですが、実はその前の平成6年に道路橋示方書は改訂されています。
この時の改訂は、大型車両の新規格化に対応するもので、制限重量が20tから25tへ移行するのに合わせた
基準改訂が主たるものだったと思います。

で、平成7年の阪神大震災を受け、その復旧のための”道路橋示方書”の「復旧仕様」なるものが、急きょ作成されます。

その中身は、従来からあった、”耐震補強”、”落橋防止装置”の基準を阪神大震災レベルの地震を想定したものに修正したものです。
それらの基準を整理して、平成8年に再度、道路橋示方書は改訂されます。
その道の方々には「へいはち」とか言われます。江戸っ子みたいですね。

さて、その後、平成14年に再度、性能規定を盛り込んで、道路橋示方書は改訂されます。
で、それが、現在の最新版になっています。

そんなオーダーで改訂される基準書ですので、阪神大震災直後の基準改定は怒涛の勢いだったワケデス。

【防災基本計画などについて】
防災基本計画は、災害対策基本法第34条第1項の規定に基づいて、 中央防災会議が作成するもので・・・。

・・・っていうと固いので、(笑)

もうちょっと柔らかくいくと、
この計画に基づいて、都道府県や市町村が”地域防災計画”をつくります。

基本的にどの自治体でも、この地域防災計画を作成しているはずです。
熟度はいろいろあるようです。
基本的にはホームページで公開しているところが多いです。
ただ、けっこう、というか、かなり見づらいし読みづらいです。

その”防災基本計画”、”地域防災計画”が大きく見直されて、より実効的な計画になったきっかけも阪神大震災だそうです。

さて、都道府県レベルの地域防災計画の中には、
災害時の緊急輸送のための道路である、”緊急輸送路”が位置づけられています。

これらの道路は、隣接する都道府県の間を結ぶような道路や、
物資拠点や避難所へのアクセスのための道路が指定されています。

この道路は災害時に、緊急車両や物資運搬の交通路として確保されます。
場合によっては一般車の通行は規制されます。

今回の東北道も、その関係で通行車両の規制がされていたようです。

なんにしても、この、”緊急輸送路”の位置づけが、阪神大震災以後、明確になったようです。


【その後】
前に書いた、道路橋示方書の新しい基準で、
日本全国すべての橋の耐震補強等を実施するのは、財政的に厳しいため、
地域防災計画に基づいた緊急輸送路上の橋の耐震補強を各自治体は進めます。

それが、平成8年以降、10年くらい粛々と各自治体の主体性に合わせて進んで行きます。

で、そこにさらに勢いをつけるため、国土交通省は平成17年からの3箇年で、
国の補助金等を投入して、高速道路、国道、県道レベルの緊急輸送路上の橋の耐震補強を実施しました。
その世界では、”○○の三カ年プログラム”というプロジェクトだったので、”サンプロ”とか呼ばれてます。

と、いうことで、この辺の阪神大震災からの15年の成果が、
今回の”地震”による道路の橋への被害を、地震の規模にもかかわらず
比較的小さくしているんではないかと思います。

仮設住宅の建設や救助の人員の現地到着は、
阪神大震災や新潟中越地震に比べるといくらか早い気がします。
そういうあたりで、粛々と進めていた橋の耐震補強が役立っているんではないかと、
ぼんやりここ数日感じています。

どうか、いまあるインフラを効率的に使って、物資を被災者の皆さんへ
効率的に運んでもらいたと、一(いち)エンジニアとして思うところです。

今後は、生活レベルの道路の被災状況がどれくらいのもので、
どう復旧していくべきかを検討していく必要がありそうです。


それにしても
道路部門の被害は比較的小さいものの、港湾・河川施設への影響は想像を絶しています。
おそらく、あのレベルの津波を想定している土木施設は、この地球上にはないでしょう。

今後、復旧についても、港湾・河川施設の復旧に多くの人員が投入されるようです。

ちなみに、自分は道路部門の人間。
アナウンスさせていただいて、買うものも買って、いつでも行けるのですが、
しばらくペンディングになっています。

いろいろな理由があるようです。。。

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Comments

nachさま

こんばんは。そうでしたか~それは偶然ですね!
そう言われてみれば、仕事でもよく写真撮るし、趣味になるのもなんとなくわかるって・・・って感じがしますね。

平成8年の道路橋示方書の改訂は本当に意味があったと思います。(生意気ですが。。。)
この改訂も、むやみやたらにされたんでなくて、阪神大震災でどんな橋梁に被害があったかを検討した上で改訂されたもののようです。
(確か昭和55年以前の橋梁でRC単柱橋脚のものが壊滅的な被害を受けていたなんて話をどこかで聞いた覚えがあります。)

で、そんな分析を踏まえて作った基準が、高速道路、国道レベルの橋梁で、
地震に耐えたわけですから、それはそれで良しとしたいところ・・・ですが、
本当にあの津波はデタラメすぎるくらいにヒドイです。

人間の非力さを感じずには居られません。。。

Posted by: hiliving | March 24, 2011 at 10:50 PM

実は自分も土木出身なのであります、意外な接点がありましたね~
と言っても今は建築(住宅)に関わる仕事ばかりしていますが…
建築でも、土木でも、今回の構造材の被害状況は、海外の一部のメディアでは絶賛されているみたいですね(もちろん控えめに)
それだけに、津波で町ごとやられてしまったのが残念でなりませんが。。

Posted by: nach | March 24, 2011 at 10:29 PM

buuさま

ありがとうございます☆
一部、自分の書いた部分に不明確な記憶もあるんですけど
それなりにあっていると思います。

今回は本当に津波に尽きます。

道路の土工部(土を盛って作ったり切って作った部分)の応急復旧はかなりのスピードで可能です。
さらに、舗装だけならもっと早いです。
それと、幕張の被害は本当に目を見張るものがあります。TDR周辺ですね。
水道や下水の復旧にはかなり時間がかかるようです。

河川護岸や港湾構造物は云十年に1度起こりうる洪水や高潮などの天災を考慮して設計します。

ですから、今回のケースのような津波は、
云百年に一度とか、云千年に一度といわれるくらいの規模ですから
これを防ぐべくハードの整備を行うのは現実的ではありません。

いくらお金があっても足りませんし、云百年、云千年立つ前に、施設が老朽化して壊れます。

まさに、剛と軟っていうのは、言い得て妙だと思います。
我々個人が日々、どんな環境にいて、災害が起きた時にどんな行動を取ったらいいか。
頭に入れておかないといけないと、日々ニュースを見て思っています。

Posted by: hiliving | March 24, 2011 at 09:16 PM

あれだけ地割れた東北道?が綺麗に舗装しなおされたというのは
驚異的スピードだと思いました。
今回は地震そのものというよりは未曾有の津波が襲った。
実は千葉のインフラが液状化でズタズタ。
とかあります。

これからの超長期計画では、地震津波で人工物は壊れるもの。ということを
原則論に据えないといけないと思います。
そのためには、剛と軟をうまく組み合わせた構造物へのインフラ置換という
第二次日本列島改造が必要なのではと思っています。
まあ、土木系は全くの素人ですので♪すみません。

Posted by: buu | March 24, 2011 at 07:10 AM

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