なじみの店
西湘バイパスの二宮インターから国道1号へ降り、
10分ばかり平塚方面へ県道を走る。
ビビッドなブルーの建物と「赤」「青」「白」のラインの
サインポールが見える。
入院がいよいよ目前に迫ってきたので散髪へ行くことにした。
行きつけの床屋の店長とは30年以上の付き合い。
というのも、小学校1年のクラスメイトだったから、
33年というのが正確な年数になる。
店長の出席番号が1番、
自分が3番という並びだった。
給食やら何やら、小学校で団体行動をした初めての仲間だ。
それにしても、口から生まれたんじゃなかろうかというくらい、
おしゃべりで明るく、いつでも周りに友達がいる奴だった。
それは今でも全く変わらない。
床屋という商売は彼にとって天職に違いない。
いや、天職という言葉の意味は、こういうものなんだろうと、
彼の仕事ぶりを見て、一人で納得している。
昔から変わらないというのが幸いして、
中学時代の同級生から仕事やら恋愛やら家庭やら、
男女問わず相談をされるそうだ。
世知辛い世の中、生きていれば、
人生のいろいろな場面で、悩んだり、苦しくなることがある。
でも、自分が生まれ育った場所で、明るく元気な奴が、
昔と変わらずいつも頑張っているというのは、
うまく言えないが、なんだか心強い気がする。
多分、みんなそんな気持ちで、奴に話をするのかもしれない。
あとは店長が幸せになればいいんだけれど、いい話はないものかなぁ
と思いを巡らす金曜の夜。
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