« 破片 | Main | 洗濯日和 »

April 11, 2015

ミカンの記憶

_r001047_2_2

雨らしい雨が続いている。
菜種梅雨とでも言えばいいのか。
ただ、昨日よりも膝の動きは良いように感じる。
ということは、雨が上がるのかもしれない。
膝を怪我しているせいか、ちょっとした天気の変化に気がつきやすい。
気圧の変化に敏感になっているからかもしれない。

覚えている記憶の中で一番古いものは何かという話を家人とした。

家人は妹の誕生だという。
自我の芽生え始めた3歳くらいの年齢で
急にやってきた新しい家族に心底驚いたらしい。
自分はというと、一つ下の弟がいるのだけれども、
自我を持った頃には既に弟がいるのが当たり前だったので、
そういう話はなんだか興味深かった。

自分の一番古い記憶は、ミカン狩りの記憶。
歩くのがおぼつかない自分は誰かに手を引かれている。
急勾配の山道。
足元に注意して歩いてると、幾らか勾配が緩くなった。
目線を上げると、色づいたミカンが木に生っている。
少し平らに開けたところで、
父方の祖母や親戚、いつもピンクレディーの真似をしていた双子の従姉妹たちが、
レジャーシートを広げてくつろいでいるようだ。
誰かに抱き上げられて、木に生っているミカンにハサミを入れる。
取ったばかりのミカンを食べるのだけれど、酸味が強くてあまり美味しくない。
何故、その場面が自分の人生の一番最初の記憶なのかわからない。
特段、掘り下げず、事実関係の裏を取ることもなく、成長していった。

大人になってから、
実家で子供の頃のアルバムを見る機会があった。
色褪せた写真の貼ってあるアルバムの中にその一枚を見つけた。
ミカンが沢山生った木の下で、
暖かい服装をして笑っている祖母や両親、
綿入れを着た兄弟。
春先の暖かい陽射しと
幸せな時間がしっかりと写っていた。

|

« 破片 | Main | 洗濯日和 »