« across | Main | 写真展「something-invisible」 エプサイトのHPにアップされました! »

May 22, 2017

Modelo Manuel Ramirez / Tetsuo Kurosawa

_r030470_
クラシックギターを趣味にして1年が経った。
趣味があるのはいいものです。

写真は趣味じゃないのか?
という話になりますが、アマチュア写真家とかプロ写真家とか、せせこましく、実りのない話になりそうなんで、置いておくことにします。

学生の頃、10年くらいエレキギターをやっていたので
そのうちに、それなりに、
うまくなるだろうと思っていたけれど、いろいろと勝手が違った。
難しい。。。
年齢的な問題や練習に当てることができる絶対的な時間もあるので
若い頃とは比較したくないのですが。
でも、とても難しい。。。

しかし、趣味があると、生活にハリが出てよいですね。
できないものが少しずつできるようになるという
小さな達成感の積み重ねが精神的によいのかもしれないです。

一年前、続くかどうかもアレだったので、
うちの父が40年以上前に買ったギターを実家からレンタル。
父はそのギターでアルハンブラ等々やっていたらしいのですが、
仕事で右手薬指の爪を根元から痛めてしまい、
トレモロができなくなってしまったため、
ギターはあまり弾かなくなってしまったとのこと。

もう少しうまくなったらギターを買いたい。
そのためには、耳を肥やさなくてはと、
いろいろな機会に試奏・・・
とかいうと、耳障りがよすぎるので、「試し鳴らし」をさせてもらっていた。
この一年間でかなりの数のギターを試し鳴らした。
おかげで相当な耳年増になった。

そんな耳年増の記憶に残った一本があった。
昨年の夏、黒澤哲郎さんというギター製作家のギターを
ギター教室で鳴らしたときの衝撃。
耳から脳に抜けるようなパキッとした高音。空間全体に響き渡る中低音のふくよかな音質。
驚いたのは、ギターのボディーの共振。
まるで生き物を抱えているようだった。
父のギターが悪いわけではないけれども、
ギターってこういうものなのかと、初めて知ったのだった。

その衝撃を忘れられないまま、約一年。
試し鳴らしにお付き合いいただいた教室の先生の紹介で
写真のギターを試し鳴らしする機会に恵まれた。
ギターは個体によって音が全く違うことは、この一年の試し鳴らしで身を持って学んだ。
だから、同じ製作家の方のものとはいえ・・・・という疑念を持って、鳴らした。

中低音のふくよかさ、タッチに応じて響きが変わる高音。。。

これは・・・と思い、一大決心。
帰宅後、早々に家族会議に図る。そして急遽、家人にもギターの試し鳴らしに立ち会ってもらった。
高校までピアノ、今はチェロをやっている家人の耳にも、このギターの音を体感してもらった。
そして、とうとう。我が家にやってくることになった。

このギター。黒澤哲郎さんが制作したマヌエル・ラミレスモデルというもの。
歴史に残る優れたギター製作家の一人であるマヌエル・ラミレスが
1912年に制作したモデルを、黒澤さんが研究、ベースにし制作したものだそうだ。

さて、マヌエル・ラミレス。
スペインのサラゴサの生まれで、
兄のホセ・ラミレス1世のもとでギター制作を学び独立。
その後、マドリッドで工房を立ち上げた。
歴史的な製作家であるアントニオ・デ・トーレスの影響を強く受けたとのこと。
少しググると、兄のホセと弟のマヌエルはギター制作の方針でぶつかってしまったらしく、
果てに仲違いしてしまったなんて話もネットには出てくる。

さらに、このマヌエル・ラミレスのギターには逸話がある。
まだ無名のクラシックギターの演奏家だったアンドレス・セゴビアの
素晴らしい演奏をマヌエル・ラミレスがたまたま耳にした。
その演奏があまりにも素晴らしかったので、
自身の制作したギターを貸し与えたのだそうだ。
以後、セゴビアは歴史に残るクラシックギター演奏家になり、
彼が演奏をすればするほど、
スペインのラミレスのギターが世界中で知られるようになったのだそうだ。

じっくり眺めてみると、楽器というより、むしろ美術品の域。
木目とか、ヘッドとか、細工とか。
ギターなんて全て同じと思いきや、
そうではなく、製作者やモデルによって、全く異なるものなのです。
この黒澤さんのギターは自分の好みのど真ん中。
端正でありながら、ギターらしい、力強い佇まい。
上から下から、いろいろと眺めていたら、1時間過ぎていた。

できれば、素晴らしい演奏をして、名工から楽器を手にしたかったけど、
それは叶わなかった。

兎にも角にも、条件は揃った。
演奏が下手なのは楽器のせいにはできなくなった。
腕を磨かなければ。。。

_r030463_





_r030468_


|

« across | Main | 写真展「something-invisible」 エプサイトのHPにアップされました! »